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祖母のもう一つの心配事 [people I crazy about now]

祖母は、面食いである。面食いであるが、「どこそこの俳優さんがえらい男前だわ。」などと言うことを言わない。彼女の好きな顔は、祖父の顔である。

祖父が固形物が嚥下ができず、すっかり身体が弱ってしまい、家に居ても一日中寝たきりの状態が増えてしまった。そんなときも、祖母は、祖父の面を褒めることを忘れない。

「ほれ、井上。ちゃん、こっちに来てみ。」
と、私を呼ぶ祖母。

何なのかよく分からないが、真剣そうに言われれば、言われたようにするしかない。

「どうしたの?」
と、聞く井上。

「ほれ、こっちから見てみ、お爺さん、男前だわぁ。」
と、言う祖母。

「そうだね、男前だね。」
と大きく頷く私。

いつも、彼女は、祖父に夢中である。何十年間もずっと夢中である。

その後、祖父が水すら嚥下できなくなり、集中治療室に入ることになった。

毎日、朝昼夜と三回の許された面会時間に、祖母は必ず、面会に行く。
朝7時半から8時までの面会時間に病院に行くために、朝の5時には起き、朝食を摂り、化粧をし、祖父が読むための新聞を2紙ほど用意する。病院は家から車で5分程の距離のところであるが、毎日、余念がない。

昼の面会の際は、御召し替えをして、病院へ行く。
「短い時間しか会えないのだからと、せめて綺麗にしていかないとお爺さんに失礼だわ。」
と、言う。

昼の面会が終われば、次はもう、夜の面会のことしか頭にない。

集中治療室内でも、祖父の見た目を褒める。

看護師さんにも、
「このお爺さん、エライ垣根(鼻のこと)が高くて、横からみても反対側の目が見えませんのよ。ホホホ。」
と、祖母はいつも褒める。

彼女のもう一つの心配事は、祖父の体調が芳しくないこと。

「ワタシはな、お爺さんが元気になってくれることしか頭にないんよ。他は何にもどうでもいいんよ。」

祖母は少しずつ痴呆が進んできてしまい、家の鍵や家族のこと、祖父の名前すら忘れてしまうことが増えました。
そんな彼女は、毎日、祖父のお見舞いに行くことだけは忘れません。

今日も、そろそろ、祖母が起き出す時間になりました。

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さぁ、今日も一日、頑張りましょう。
井上。は、少し仮眠します。

いつも有り難うございます。

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コメント 3

prismiclyon

ステキなお祖母様ですね。
長年連れ添って、そういう関係って羨ましいですね〜(^^)
by prismiclyon (2011-01-30 11:59) 

井上。

>prismiclyonさん、
お褒めにあずかり、光栄です。祖母に、何かの際に伝えておきます。また、祖母が「ほほほ。」と笑う様子が目に浮かびます。
by 井上。 (2011-01-31 06:09) 

rainbowdream

ご訪問&nice!ありがとうございました!
御祖母様は本当に可愛い女性ですね。
記事、読んでほろっとしちゃいました。。
御祖父様はお幸せですね。
井上。さんも、やさしく見守ってあげている感じがよく伝わってきました。
私も、御祖母様を見習わなくては・・
by rainbowdream (2011-03-26 15:12) 

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